国際派の仕事ガイドシリーズ①

■ 金融コンサルタント
source from world wide job

金融業界のスペシャリスト

●金融コンサルタントってどんな仕事?

現在、海外の日系企業が抱える問題は、資金調達である。長引く構造不況を背景に、海外における日本企業の評価は低下している。信用がないと金が借りられないのは当然だ。金融コンサルタントは、顧客のニーズに見合うポートフォリオを構築したり、デリバティブ金融派生商品)を開発したりすることなどによって、顧客の資産運用や資本調達を助けるアドバイザー。主に投資銀行業務を行う金融機関に勤務する。日本人の場合、顧客は現地の日系金融機関や商社の金融部門などで、その取引額は10億円単位だ。対顧客の仕事なので、企業内では営業職として位置づけられることも多い。専門性の高い仕事で、経験を積めば高給取りとして業界を渡り歩くこともできる。だが、絶えず変化していく市場を相手に多額のお金を動かすので、並大抵の精神力では務まらない。

●求められるスキルとは?

数字やデータ分析との戦いなので、理工系に向いている。デリバティブは種類も多様で仕組みも複雑だ。情報収集能力があり、そのデータを使って、論理的かつ巧みな仕掛けをはじき出せる人材が求められる。英語力があることは大前提だが、ただ話せるだけでは役に立たない。顧客の文化背景を理解し、筋道を立てて説得する力がなくてはならないからだ。金融業界は人の動きが激しく、能力のある人間には、必ず就職のチャンスが巡ってくる。まずは経験を積み、自分のセールスポイントを磨いておくことが大切だ。

●金融コンサルタントになるには?

専門性の高い仕事なので、実務経験が重視される。何とか日本の金融機関に潜り込んで、知識と経験を養いたい。海外で金融機関に就職すると、SFA(イギリスでの証券業務に必要な資格)やシリーズ7(アメリカの金融機関資格)を取得させられることがある。日本で取得できるシリーズ7などを先行取得しておくのも手だ。経験豊かでビザ取得の条件を満たしている人であれば、専門職なので比較的ビザは下りやすい。問題は、いかに「外国人である自分」を欲しがらせるかだ。

●仕事はどうやって探す?

邦字紙にも日本人向けの求人はあまり載らないので、まずは人材紹介会社に登録するといい。あとは、現地の新聞(経済誌に顧客的求人が多い)にたまに出る求人に、積極的にアタックすることだが、ビザを持ってない人の応募を受け付けない金融機関も多い。いちばん確実なのは、やはり紹介や口コミである。

●もっと知りたい! 金融コンサルタントの世界

―日本で働くのとココが違う―
日本企業のような「下積み期間」というものはない。企業側に買われた特殊技能をストレートに使う現場に配置され、直ちに結果を出すことが要求される。通常は3カ月間が「試用期間」で、その間の働きが悪いと無条件で解雇されてしまう。リストラも多いので、気が抜けない。

―業界事情・各国需要―

現在、海外の日系金融機関の多くは、撤退または規模縮小を図っており、求人は激減している。金融中心地であるニューヨーク、ロンドン、香港では常に優秀な人材が求められているが、労働ビザを持たない人が日系以外の金融機関に就職するのは難しい。だが新卒でも、MBAを持つ人や大学で専門的な勉強をしてきたポテンシャルのある人ならば、採用に至るケースもある。一度中に入ってしまえば、業界内での転職は割と簡単にでき、会社から会社を渡り歩く人も多い。つまり、グローバルな金融マーケットで鍛えられた人間は、ニューヨークだろうがロンドンだろうが、世界のあらゆる主要国で働けるのである。