外資系企業の人事担当者に直撃

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転職体験者・人事担当者に聞く 成功法&こんな人は落ちる
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外資系企業の人事担当者に直撃!
履歴書の書き方、面接での心構えなど、採用する側に、どのようなことに気をつけるべきかを聞いてみた。
外資コンサルティング会社 ベリングポイント株式会社 
ヒューマンリソース シニアマネージャー 入江孝弘さん

履歴書はどのようなところを注意して見ますか?


  中途採用の場合は、どのような経験をしているかを一番に見たいので、会社名、勤務年数を見ますね。3年以上一つの会社で一つの仕事に従事していることが望ましいです。1社目での勤務が3年未満でしたら、中途ではなく、第二新卒という扱いになります。 
英語力は、新卒の場合は重視しますが、経験者の場合は、英語力よりそれまでのキャリアを見ますね。英語力が足りなくても、仕事が出来る方であれば、採用し、その後仕事に必要な英語の学習は個人でやっていただきます。

◆面接では応募者のどこを見ていますか?

  弊社では、面接は2段階になっています。1段階目では人となりをみます。2段階目では、その人のスペック、つまり弊社で必要なスキルや能力を持っているかどうかを深く掘り下げて聞いていきます。

◆英語力はどの程度必要ですか?

  英語面接はバックオフィス(人事・総務・経理・アシスタントなど)での募集の場合は行っていますが、コンサルタントの場合は特に行っていません。
必要な英語力の目安は特に設けてはいませんが、ビジネスでの会話力が必要ですね。
マネージャーへの昇進には、TOEIC 850点が目安となっています。

◆御社が求める人材とは?

  外資系のコンサルタント会社ということで、まず日本の会社とは就業時間が違います。何時に来て何時に帰る、という決まりはなく、プロジェクト単位で動くことがほとんどなので、自己管理がきちんと出来ることが何よりも必要です。また、自分で物事をどんどん前に進められる人ですね。
また、新卒・中途含め「早く偉くなりたい人」を求めています。日本の企業のような、年功序列、長い下積み期間は必要ない、実力で上に昇って行きたい、というアグレッシブな人が向いていると思いますね。 
ベリングポイント株式会社
http://www.bearingpoint.com/


トムソンファイナンシャル 人事部 高橋奈津子さん

◆履歴書はどのようなところを注意して見ますか?

  転職活動をされる方は、何社も同時に履歴書を送ることがあると思います。その際に、同じ履歴書を送るのではなく、それぞれの会社に合った書き方で自分の経歴をまとめなおしている方は印象がいいですね。弊社の募集要項に合わせたレジュメだと、私たちも、「当社が求めているスキルや経験と、その方の目指しているキャリアプランが、どの程度合致しそうか」というのを判断しやすいですし。たまに、間違えて他社宛のカバーレターをつけた履歴書を送ってきてしまう方もいますが、英文カバーレターや、日本語履歴書の志望欄などは、意外としっかり読んでおりますので、丁寧に作成されるといいですね。

◆面接では応募者のどこを見ていますか?

  それぞれの職務に必要な最低限の知識・能力があるかどうかを確認するほかに、人事の面接では、コミュニケーション能力が高いかどうかを重視します。これは日本語・英語問わずです。こちらの質問に対して、的確な答えをパッとできるかどうかもポイントですね。自分をアピールしたいあまり、長々と話しすぎたりするのは、あまり高く評価していません。相手が聞きたいことをきちんと把握し、双方向のコミュニケーションをうまくリードできるかどうかをチェックします。

◆英語力はどの程度必要ですか?

  TOEICのスコアで言えば、900点なら安心、850点ならビジネス上では問題ない、750点だと、少し物足りない、という感じです。ただ、900点のスコアを持っていても、ビジネスで使っていない方もいますので、本当に英会話力を判断したい際は、トムソングループの教育事業部が日本で運営している「Phonepass」(電話で出来る口頭英会話能力測定試験)を受験していただいています。特に秘書系の業務に応募される方には、必ず受けていただいています。「Phonepass」は、総合的な英会話力を20〜80点までのスコアで判定するのですが、50点だとまずまず、60点あれば、会話の面でもまあ心配いらないだろう、というレベルです。また実際の面接で、英語で簡単な自己紹介をしていただくこともあります。1、2分お話いただくと、どの程度の会話力があるかは、日本人が聞いていてもだいたいイメージできます。

→「Phonepass」について

◆御社が求める人材とは?

  会社というのは常に変わり続けていくところです。ですので、2年後、3年、5年と中期的なスパンで組織やビジネス戦略が変化を続けても、能力的なフレキシビリティを保持しながら、より活躍の場が広がることが十分期待できる方を採用したいと思います。これが、ご入社いただく方と当社の双方にとって、Win-Winを創出するいい採用だと考えています。

トムソンファイナンシャル
http://www.thomsonfinancial.co.jp/


外資への転職成功者は語る!
実際に外資への転職を果たした人たちは、どのような経緯をたどって成功をつかんだのだろうか。

外資コンサルタント会社勤務 森山亜希子さん

◆日本企業から外資に転職しようときっかけは?

  初めて外資系に移った時には派遣社員としてでしたが(現在は外資系2社目で正社員)、いずれ留学したいと思っていたため、少しでも留学前に英語を使って仕事がしたいと思ったのが一番の理由です。実際には、面接に行った際にオフィスがあまりにきれいで眺めがよかったのが決め手になりました。

外資の転職のために身につけたスキルは?

  最初の転職は派遣社員としてだったため、特別なスキルは身につけていませんでした。ただ、エクセルなどのオフィス系ソフトは、実際の業務ではそれほど使ったことがなかったのですが、面接で「使えます」と言い切れるレベルになるよう、自分で書籍等を購入して事前に勉強しました。

現在の会社への転職活動は留学中に行ったため(サンフランシスコで行われるジョブフェア)、英語力は納得の行くレベルまで伸ばせるよう勉強を続けました。また、留学先のインターンシップでも現在の職種と関連のある分野を選び、帰国後の最終面接でアピールできるように準備していました。

◆英語力はどのくらいありますか?またそれが転職活動にどのように影響しましたか?

  TOEIC920点。米国に1年留学したため、日常会話/ビジネス会話ともに基本的な会話にはそれほど苦労しませんが、今でも映画を字幕なしで完全には理解できないので、まだまだ帰国子女レベルなどにはほど遠いです。転職活動(2度目/現在の会社)では、筆記試験の英語をラクに解けたのはよかったと思います。
ただ、面接では英語力についてもそれほど聞かれることはなく、採用の決め手にはなっていないと思います。

◆あなたが思う日本企業と外資の違いとは?

  外資系企業の方が、やはり実力主義が強いと思います。例外はありますが、Job Level の高い人ほどたしかに仕事ができます。(一部の日本企業のように、長く会社にいれば自然とJobLevelが上がる、ということはあまり見られません。) 一方で、よく言われることですが、日本企業のような人とのアットホームなつながりは比較的少ないと思います。それもあるせいか、外資系企業の方が仕事でも休暇でも、人とのしがらみをそれほど気にすることなく自分の持っている意見は比較的言いやすいと思います(意見が通るかどうかはもちろん別ですが。)

また、外資系企業の場合は転職者の割合も高く、海外生活経験者が多いのも特徴です。ただし、一口に企業を「日本企業」「外資」とくくってしまうのは難しいと思います。人が1人1人違うように、会社も1社1社違うからです。実際、私はこれまで外資系企業は2社経験しましたが、その2社だけでさえ、本当に「外資系」と同じカテゴリーに属するのかと思うくらい、人もカルチャーも仕事の進め方もまったく違います。よく聞くのは、やはり外資系企業であっても日本で長い間ビジネスを行っている会社は多くの日本企業よりも「日本的」だそうです。また、外資系企業といえば「英語を活かせる」というイメージが強いと思いますが、日本企業の方がむしろ部署によっては英語力を必要とされることも多いと聞きます。人についても、外資系では「ドライ」というイメージが強いと思いますが、一方で温かく指導してくれる人もいます。ですので、これから転職される方には「日本企業」「外資系」のイメージの枠にとらわれることなく、希望企業のリサーチを入念にされることをおすすめします。

◆今後の抱負は?

  現在はコンサルティングという職種に就いていることもあり、ITから戦略まで幅広い仕事を経験することができましたが、専門といえる分野がまだないのが大きな弱みだと思っています。現在の企業にこの先も勤め続けるかどうか、迷っているところですが、在籍している間は今興味を持っている人材育成・トレーニング領域のコンサルティング分野で少しでも経験を積みたいと思います。

また、これまで留学中に培った英語力をあまり活かしきれていないので、現在の会社にとどまるせよ、転職するにせよ、もっと日常的に英語を使って世界を舞台にした仕事を一度してみたいとも考えています。

◆面接で気をつけたことなどもあれば教えて下さい。

  特に気をつけたことといえば、質問されたことに対して結論を先に言うことくらいです。あとは、相手の質問や受け答えに対して、自分の言いたいことを一方的に話すのではなく、あくまで相手とコミュニケーションを取ることを心がけました。ただし、これらは外資系だからこそというわけでもなく、日本企業の方とお話する機会があったとしてもきっと同じように面接に臨んだと思います。面接官が日本人でない場合にはわかりませんが、相手が日本人の場合”外資系””日本企業”なのかで気をつけるべき点はそれほど変わらない気がします。日本での就職を想定した場合、外資系に就職したとしてもお客さんは日本人あるいは日本企業が主となるため、やはり日本で仕事を行う上での気遣いやマナーなどは持っていた方がよいのではないでしょうか。それらが面倒だと思う場合には、「外資」への就職というより「海外就職」の方がいいかもしれません。もちろん、ハードルは「海外就職」の方が断然高いと思います。